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Lain

自作小説、短編集です。
続編なんざありません。
気軽に読んでいただけると、ありがたいと思います。




「人は、自分の価値を他人に見せなくてはいけない。」
一人の男が坦々と言う。
「何故なら他人は、ソレを主張しないと理解出来ない...してくれ無いからよ。」
一人の女が坦々という。

「他人は、見た目で判断をする。」
又、男が口を開く。
「逆もまた叱りと言う事ね。」
又、女が口を開く。

例えばだが、と男が発す。

「アイツは弱そうだから、喧嘩も弱いだろう」
男。
「だから、後で殴ってやろう。憂さ晴らしにな。」
女。

「実際、本当にソイツが弱いかは解らないのに。」
男。
「殺人鬼みたいな奴なのかもしれないのに。」
女。

言葉を発せられた少年は、ピくと肩が震える。

ソレを見た二人はハハハッと、笑ったような声を出す。
...実際は笑ってなどいないが。

少し間が空いた後、女がさて、と一言。
そして、その言葉を待っていたとばかりに、男は女を一瞥。
「「君に質問がある。」」

二人は同時に、一秒の狂いもなく
只、当たり前の様に奇妙な質問を同時に行う。

「「君は、他人に自分の価値を見せた事があるかい?」」
「「影で価値を磨くのが、格好がいいと思っていないかい?」」
「「才能を発揮する時だけに、見せ付ければいいと思っていないかい?」」

二人は互いの懐から、ジッポーと煙草を出す。
そして、互いに互いの煙草に火を付ける。
手馴れた手つきだから、多分、何時もこうやっているんだろう。

彼等は一服タバコをふかした後、
再度、二人同時に口を開き言葉を発す。

「「ソレは、何にも価値は無い。」」
「「ソレをして良いのは、ヒーローだけだ。」」
「「君はヒーローなんかじゃあない、只の一般人だ。」」
「「才能は無い、勉強も出来ない、身体能力も皆無。」」
二人はハハハッと、彼を嘲笑う様に笑う。

笑われている方は、言い返す事すら出来ない。
と、言うか
何かに怯えて、彼等の事なんて眼中に入っていないように。
無視とは違う。何か他の事を考えているのか。

...だが、それでも男女は言葉を止めたり等しない。
「「話は変わるが、少年。」」
「「生まれた事を後悔した事は或るかい?」」
「「...私達はあるよ。何時でも後悔している。」」

「あの時、逃げれば良かった。」「殺せばよかった、とかね。」
「でも、」「それは」「終ってしまった事だ。」
「だから、」「後悔なんて」「正直」「意味が無い事なの。」
「けどね、」「人間は」「そうしないと」「生きていけないのだ。」
「後悔をしないと」「前に進めない。」「後悔をしないと」「楽しく生きていけない。」

「「それは、とても悲しい事だと「俺」「私」は思う。」」

二人に話しかけられている少年は、体を震わせハァハァと荒い息を立て、
そして、小さい小さい声で俺は悪くないと呟く。

その少年を哀れに思っているのか最中ではないが、彼等は
同情的な眼を彼に向けているように見えた。

「解っているよ。」「大丈夫」「貴方は」「悪くない。」
「悪いのは」「勿論」「あの少年共だ。」
「そう思う事は」「悪くないわ」「人間の」「本能だもの。」
「自己犠牲は」「マゾヒズムだけが」「勝手にやっていればいいのよ。」
「だが、君は違う」「一般人だ。」「そんな事はしなくて良い。」
「君は」「只」「殻に」「閉じこもっていればいいのさ。」

「「でも、人はソレを一時的にしか出来ない割合が多すぎる。」」
「「ソレは、我々からしたら哀れでしかない。」」
「「だから、殻を脱ぎ、後悔する前にこうして参上つかまった訳だ。」」
そして又、彼等は煙草をふかしながら少年に近づく。

その時彼等は、あ、思い出した。
と、言ったように、懐から拳銃を取り出した。

そして、その拳銃を少年の額に押し付けながら、口元を歪ませながら口を開いた。
「「又、話が変わるが少年。救済とは何だと思う?」」
「他人の指示に従って、召使いのように動く事か?」
「それとも」
「自分が正しいと思った事を、救済として提示する事かしら?」
「「我々は後者だと信じている。」」

互いの煙草を、交換し合いながら
彼等は、彼等なりの救済を説明する。

「だから」「こうして」「私達は」「俺達なりに」
「正しいと思った事を」「実行するだけなのよ。」
「それが」「本当に」「正しいかは」「誰にも解らない。」

「「...だけど、正しいか解らないから動かないよりも、
自分の信じた道を歩くっていうのが、正しいと思う。」」
「...別に、私達の持論だから納得されなくても結構なの。」
「そうだ。俺たちの持論だ、だから理解されなくても結構。」

男の言葉を聞いて、女は少し苦笑した様に見える。
アレが、彼女なりの笑い方なのかもしれない。
「ソレ今、私が言ったじゃない。」
男はそんな事は解っていると、言った様な顔で
「すまない。」
と、一言。

少年は、彼らが楽しく談笑している間に入るかの如く叫んだ。
「じゃあ、何で僕を殺そうとするんだ?」

彼らは、何を言っているんだ、この糞餓鬼は。
今、説明してやったじゃないかというような顔をしたが、
糞餓鬼の脳には、今説明した5%も頭に入っていないんだろうな、と
瞬時に理解し、嚙み砕いた説明をしてやった。

「あのな少年」「さっきも言ったけど」「しかたないから又、説明してやる。」
「いい?」「俺達は」「貴方達が」「哀れで可哀相なんだ。」
「後悔という名の十字架に縛られて」「死んでも魂はソレに囚われる。」
「...だから、」「そうなる前に」「後悔という名の、手を引っ張る蛆虫を見る前に」
「安全に」「正しく」「殺して」「あげたいのよ。」
「それが、私達の」「格好がいい」「持論。」
「「もう、理解していようがしていまいが関係ない。」」
「「我々には、まだ多くの救済処置が待っているのだから。」」

男は腕時計にチラと眼をやり、女の方を向き、
そして小さな声で時間だ、と呟く。

「時間を取らせたな少年、今救済処置を行ってやる。」
「多分、まだ後悔はしていないと思うから、魂は穢れていない筈よ。」
「と、言う事だ少年。喜べ。」
「そうね、私達に合えた事に感謝なさい。」
彼らは短くなった煙草を、路上に投げる。
その時少年は、煙草が宙を待っている所に自然と
眼が行ってしまった。

その瞬間を見逃さないぞ、という様な彼等の考えにも気付かずに。

少年はバン、という音と、ドン、という音が聞こえた気がした。

そして少年はその時、頭が一瞬痛かった様な気がする。
...でも、痛いのは一瞬で次に来たのは深い眠気。
多分、今寝てしまえば気持ちよくなるんだろうな、と少年は思う。
だから、少年は目を閉じる。気持ちが良くなる為だけに。

まぶたを閉じるその途中に、声が聞こえたような気がした。
「神に見捨てられた哀れな子羊よ」「今我々が救済してやろう。」
「何、案ずるでない」「多分きっと」「アッチは気が楽だろう。」
「直ぐに、新しい新入りを連れて行ってやる。」「楽しみに待っておけ。」
「「こっちの世界は平和ではないが、アッチの世界はきっと平和だ。」」

...そして、少年は死んだ。

小さな、小さな魂は短くなった煙草の火とともに消えた。


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[ 2012/02/14 00:00 ] 短編 | TB(0) | CM(0)
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白神

Author:白神
馬鹿です。人見知り激しいです
後、友人がオタクなので、
私もオタクって言う想像っぽい感じです。
……まあ、私もオタクだから別にいいんですけどね(微怒)
   , 。    
   ( 々゚) あ?やんのか?お?  
   し  J    
    u--u
動物大好きです!家には犬がいます。
猫派なんですけど!

てか、動物って可愛いですよね。
DSとかの擬似動物なんかより断然いいです。
    /l、  
     ("゚. 。 フ      ミイ~ ミィ~  
     」  "ヽ  
    ()ιし(~)~
ルックスの関係で、好きなのは小さい生き物って言うと引かれます。理解できません。
畜生!!燃えろリア充!!
   ,、|,、  
   (f⌒i  
    U j.|  
    UJ  
     :  
    ‐=‐

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